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社外取締役とは?役割や要件、女性登用の現状までわかりやすく解説

近年、企業のガバナンス強化や多様性推進の流れを受けて、社外取締役の重要性がますます高まっています。「社外取締役とは具体的にどんな役割を果たすのか?」「どんな人がなれるのか?」「女性の登用は進んでいるのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では、社外取締役の基本的な役割や要件、さらに近年の女性登用の現状まで解説します。

・社外取締役の役割は?
・社外取締役の要件は?
・社外取締役に必要なスキルは?
・女性の社外取締役の需要は?

そのほか、社外取締役に必要な経験・キャリア、社外取締役になる方法についても解説していくため、興味関心を持っている人は、ぜひ参考にしてみてください。

社外取締役とは?

企業のガバナンス(企業統治)が重視される中で、社外取締役の存在は年々重要性を増しています。社外取締役とは、自社の業務執行に直接関与しない立場から、経営の健全性や透明性を監視・助言する役割を持つ取締役です。社内取締役と異なり、客観的な視点で経営判断をチェックできるため、株主や社会からの信頼向上に寄与します。特に近年では、企業の不祥事防止や持続可能な成長に向けて、独立性のある社外取締役の設置が強く求められています。

ここでは、社外取締役の定義や社内取締役との違い、注目される背景について確認しましょう。

社外取締役の定義【会社法上の位置づけ】

社外取締役は、会社法上で明確に定義されている役職で、具体的には「過去に当該会社の業務執行をしておらず、かつ現在も執行役や使用人でない者」とされています。つまり、過去・現在を通じて経営実務に携わっていない「外部の人材」であることが条件です。この定義により、経営陣と一定の距離を保ちつつ、客観的・中立的な立場から取締役会に参加し、重要な意思決定に関与する役割が期待されます。

また、上場企業では社外取締役の選任が義務づけられている場合もあり、企業の透明性や説明責任を高めるための存在として位置づけられています。

社内取締役との違いとは?

社内取締役と社外取締役の最大の違いは、その関与度と立場にあります。社内取締役は、経営陣の一員として日々の業務執行に深く関わる一方で、社外取締役はあくまでも第三者的視点から経営判断をチェック・助言する役割を担います。これは、社内の人間関係や利害関係に左右されにくく、より独立した意見を述べられる社外取締役の意義を際立たせる大きな違いです。

社内取締役が企業運営の「内側」に立つ存在であるのに対し、社外取締役は「外側」から健全な経営を支えるブレーキ役ともいえるでしょう。両者のバランスが取れてこそ、企業統治の質は向上します。

なぜ今、社外取締役が注目されるのか

近年、社外取締役が注目される背景には、企業のコンプライアンス強化やガバナンス改革の流れがあります。例えば、不祥事の防止や経営の透明性向上において、内部だけでは解決しきれない課題に対して、外部の視点が求められているのです。

また、投資家や株主からの信頼を得るうえでも、独立性の高い社外取締役の設置は重要な評価指標となっています。2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂以降、東証プライム上場企業では2人から取締役の3分の1以上へ大幅に変更になりました。このように、社外取締役の選任が実質義務化されるなど、制度面でも追い風が吹いています。多様性や専門性を取り入れる意味でも、今後ますます社外取締役の重要性は高まるでしょう。

社外取締役の役割とは

社外取締役は、企業の経営において重要な役割を担っています。社内の執行役員とは異なり、外部の独立した立場から経営の監督や助言を行うことで、企業のガバナンス強化に貢献します。特に近年、企業の不祥事防止や透明性向上、持続可能な成長を実現するうえで、社外取締役の役割がより一層高まっているのです。

ここでは、社外取締役が果たす主な役割である経営監督機能の強化、経営の透明性と中立性の確保、企業価値向上への貢献について解説します。

経営監督機能の強化

社外取締役の最も重要な役割のひとつが、経営監督機能の強化です。社外取締役は企業の経営陣から独立した立場で、経営戦略や重要な意思決定を客観的にチェックし、不正やリスクの早期発見に寄与します。内部の意見に偏ることなく、多角的な視点で問題点を指摘し、改善策を提案することで、経営の質を高める役割を担っています。これにより、企業は健全かつ効率的な経営を維持でき、長期的な安定成長が期待されます。

経営の透明性と中立性の確保

社外取締役は、経営の透明性と中立性を確保する役割も重要です。経営判断において社内の利害関係に影響されず、独立した第三者として意見を述べることで、ステークホルダーに対する説明責任を果たします。特に株主や投資家からの信頼を獲得するうえで、社外取締役の存在は不可欠です。透明な経営が実現すれば、企業の社会的信用は向上し、持続可能な経営基盤の構築につながります。

企業価値向上への貢献

社外取締役は単なる監督役に留まらず、企業価値向上にも大きく貢献します。例えば、豊富な経験や専門知識を活かし、経営陣に対して戦略的なアドバイスや新たな視点を提供することで、事業の拡大やイノベーション促進の支援が挙げられます。

また、多様な人材が経営に参画することで、リスク分散や経営の柔軟性が高まり、企業の競争力強化にもつながるでしょう。結果として、持続的な成長と株主価値の最大化が実現されるのです。

社外取締役の要件と選任基準

社外取締役は、企業の経営を外部から監督する重要な立場にあるため、その選任には法律上の要件だけでなく、独立性・透明性など多角的な観点からの評価が求められます。単なる肩書きや人脈だけで選ばれるのではなく、企業の成長と健全な経営に貢献できるかどうかが重要なポイントです。

ここでは、社外取締役に求められる要件や、企業が選任時に重視する基準について解説します。

法律上の要件

会社法において、社外取締役は「現在、当該会社または子会社の業務執行取締役や執行役、使用人ではない者」と定義されており、過去に一定期間、当該企業の経営陣として関与していないことが条件となります。また、親会社や子会社の関係者である場合も、社外取締役としての要件を満たさない可能性があります。これは企業内の利害関係にとらわれない客観的な視点で経営を監督するための措置です。

さらに、上場企業においては、取締役会の構成における社外取締役の人数に関しても一定の規制が設けられています。

「独立性」が重視される理由

社外取締役において「独立性」が重視される理由は、経営陣の判断に対して客観的・中立的な立場から監督・助言を行うことが求められるためです。もし取締役が企業や経営陣と密接な利害関係を持っている場合、公正な判断が難しくなり、ガバナンス機能が損なわれてしまいます。

特に上場企業では、株主や社会に対する説明責任が大きく、独立した立場からの指摘や意見が企業の信頼性に直結します。そのため、独立性を保つ人物が社外取締役として選ばれる傾向が強くなっているのです。

「透明性」が重視される理由

近年の企業統治では、意思決定の「透明性」が非常に重視されています。社外取締役が関与することで、経営会議や取締役会の議論が社内だけで完結せず、外部からの視点を取り入れることが可能になります。これにより、経営判断のプロセスが開かれたものとなり、株主やステークホルダーからの信頼を高めることが可能です。

また、透明性のある経営は不祥事や法令違反の抑止にもつながり、企業価値を持続的に高める基盤となります。こうした理由から、社外取締役には透明性の確保に貢献する役割が期待されているのです。

企業が重視するスキル・経験とは

企業が社外取締役を選任する際には、単なる名誉職ではなく、実際に企業価値向上に貢献できるスキルや経験があるかどうかを重視します。例えば、財務・会計、法務、IT、グローバル経営、人事・組織改革といった分野の専門知識が高く評価されやすいです。

また、経営者経験や他社の取締役経験があると、より実務的なアドバイスが期待されやすくなります。多様性の観点からは、女性や海外経験者、ベンチャー出身者などの登用も進んでおり、企業が直面する課題に合わせて適任者が求められる傾向にあります。

社外取締役に女性が選ばれる動きが加速中

近年、企業経営における多様性の重要性が高まる中、女性の社外取締役登用が急速に進んでいます。従来の男性中心の経営陣から脱却し、多様な視点を経営に取り入れることで、企業の競争力や持続的成長が期待されています。特に女性が持つ独自の感性やコミュニケーション能力は、意思決定の質を高めると評価されていることに注目です。

ここでは、なぜ女性の社外取締役が求められているのか、政府や企業の推進状況、求められるスキルについて解説します。

なぜ女性の社外取締役が求められているのか

女性の社外取締役が求められる背景には、多様性が企業価値向上に直結するという認識の広がりがあります。異なる性別や経験を持つ人材が経営に参画することで、多角的な視点からの意見が増え、問題解決やイノベーション創出に寄与します。

また、女性の視点は消費者目線や働き方改革などにおいても重要で、これらは企業の競争力強化に欠かせません。社会全体で男女格差是正の動きが加速するなか、企業経営にもその波が及んでいます。

政府・上場企業による数値目標と推進状況

政府は女性の管理職比率向上を含む多様性推進策を掲げており、上場企業に対しても女性社外取締役の登用を促進しています。例えば、経済産業省が策定した「女性活躍推進法」や「女性管理職比率目標」などに基づき、企業は具体的な数値目標を設定しています。

これにより、女性取締役の割合は徐々に増加傾向にあり、多くの企業が積極的に採用を進めているのです。ただし、依然として業界や企業規模による格差も存在し、今後のさらなる推進が課題となっています。

女性社外取締役として求められるスキルとは

女性社外取締役に求められるスキルは、多様性の価値を最大化するための専門性と経営視点の両立です。具体的には、財務や法務、リスク管理などの基本的な知識に加え、マーケティングや人材マネジメント、DX(デジタルトランスフォーメーション)への理解が重要視されています。また、コミュニケーション力や調整力、課題発見力も欠かせません。これらのスキルを活かし、経営陣と対話しながら企業の成長に寄与することが期待されています。

社外取締役になる方法

社外取締役として企業から選ばれるには、ただ待っているだけでは難しく、自らのキャリアや専門性を活かした戦略的なアプローチが必要です。実際には、紹介やヘッドハンティングを通じて選ばれるケースが多い一方で、近年ではオンラインプラットフォームやSNS経由でのダイレクトリクルーティングなど、多様なルートが存在します。

ここでは、社外取締役になるための主な方法について解説します。

  1. 社外取締役エージェント
  2. 知り合い経由の紹介・ヘッドハンティング
  3. ハイクラス向けの転職エージェント
  4. SNS・ダイレクトリクルーティング

1. 社外取締役エージェント

近年注目されているのが、社外取締役や監査役に特化したマッチングサイトの活用です。代表的なサービスとしては「顧問名鑑」や「EXE」などがあり、自身のキャリアやスキルを登録することで、社外役員を求める企業とマッチングされます。人脈に頼らずに機会を得られる点が大きな魅力で、上場企業からベンチャーまで幅広い案件に出会える可能性があります。独自のスカウトや推薦機能があるサイトも多く、効率的なアプローチ手段としておすすめです。

2. 知り合い経由の紹介・ヘッドハンティング

社外取締役に選ばれる一般的なルートは、知人や過去に関わった経営者などからの紹介です。信頼関係がある相手からの推薦は、企業にとっても安心材料となるため採用されやすく、経営層との人脈が大きな鍵となります。また、ハイクラス層を対象にしたヘッドハンティング会社が企業のニーズに合った候補者をリサーチし、直接スカウトするケースも増えています。日頃から自分の実績や専門性を周囲に発信しておくことで、こうした機会に繋がりやすくなるのが特徴です。

3. ハイクラス向けの転職エージェント

エグゼクティブ層向けの転職エージェントも、社外取締役を目指す人にとって重要なルートです。JACリクルートメントやビズリーチなどでは、非公開の社外役員案件を扱っており、経営や専門分野での実績をもとに紹介されるケースが多くあります。専任コンサルタントが自分の強みや希望条件を把握したうえでマッチする企業を提案してくれるため、効率的かつ精度の高い転職活動が可能です。書類作成や面談対策などの支援も充実しており、初めての人でも安心です。

4. SNS・ダイレクトリクルーティング

SNSを活用したダイレクトリクルーティングも、近年の有力な手段のひとつです。特にLinkedInは、企業の経営者や人事担当者が社外取締役候補を探す場として活発に利用されています。自身のプロフィールには、これまでのキャリアや専門分野、実績などを詳細に記載し、積極的に情報発信を行うことで注目を集めやすくなります。さらに、業界関係者とのネットワーキングを日常的に行うことで、思わぬタイミングで声がかかることにも期待できるでしょう。

社外取締役に選ばれるには?必要な経験・キャリア

社外取締役は、企業経営に対して専門的かつ客観的な視点から助言や監督を行う重要な役割を担います。そのため、単に外部の人というだけでなく、豊富な経験や高い専門性が求められます。特に法務、財務、経営の分野での実績や知見が重要視されるほか、人脈や信頼関係を活かしたネットワークも大切です。

ここでは、社外取締役に選ばれるに必要な経験・キャリアについて解説します。

法務・財務・経営経験がある人材が有利

社外取締役に選ばれる上で特に評価されるのが、法務、財務、経営に関する豊富な経験や専門知識です。法務の知識はコンプライアンスやリスク管理に役立ち、財務の理解は企業の健全な資金運用や財務戦略の監督に不可欠です。

また、経営経験があれば、経営陣への助言や戦略的な視点の提供が期待されます。こうした実務経験は、社外取締役としての信頼性や価値を高め、企業のガバナンス強化に貢献できるでしょう。

社外役員ネットワークや紹介が重要な理由

社外取締役の選任は多くの場合、既存の経営陣や取締役、投資家との信頼関係や紹介によって決まるケースが多いです。ネットワークが広ければ、候補者の実績や人柄が把握しやすく、適切なマッチングが期待できます。特に専門分野のリーダーや経営層と繋がりがあることは、社外取締役としての役割を円滑に果たすうえで強みとなります。そのため、日頃からの人脈形成や業界活動への参加が重要となるでしょう。

女性の場合に多いキャリア背景

女性の社外取締役に多く見られるキャリアとして、弁護士や公認会計士などの専門資格保持者が挙げられます。これらの資格は高い専門性を示すだけでなく、企業の法務リスクや財務健全性の観点から経営に貢献できる点が評価されやすいです。

また、近年は経営コンサルタントや人事、マーケティング分野での実績を持つ女性も増え、より多様な視点で経営を支える役割を担っています。こうした多彩な背景が企業のガバナンス強化に繋がっています。

社外取締役の報酬・報酬水準は?

社外取締役の報酬は、その役割の重要性と企業規模に応じて幅広く設定されています。企業経営の監督や助言を担う立場であるため、報酬は一定の専門性や責任を反映したものとなっています。特に上場企業と未上場企業で報酬水準に差があり、また社内取締役や経営陣の報酬と比べた位置づけにも特徴があります。

ここでは、社外取締役の平均報酬相場や報酬の決定基準、透明性について確認しましょう。

平均報酬の相場

企業の規模や上場状況によって大きく異なりますが、社外取締役の報酬相場は663万円であるといわれています。上場企業では、年間で数百万円から数千万円の報酬であることが多く、特に大手企業では高水準に設定されています。

一方、未上場企業の場合は規模や財務状況によって報酬が抑えられる傾向が強く、年間数十万円から数百万円程度が相場です。この差は、企業の経営責任や業務負担の重さ、求められる専門性によって変動します。

役員報酬と比べての位置づけ

社外取締役の報酬は、社内取締役や経営幹部の報酬と比べて控えめなことが多いです。これは、社外取締役が経営に直接的な執行権を持たず、主に監督・助言の役割にとどまるためです。

しかし、その責任は軽視されておらず、企業のガバナンス強化やリスク管理に寄与する重要な職務として適正な報酬が支払われています。また、報酬は基本報酬が中心で、業績連動型の報酬は比較的少ない傾向があります。

報酬の決定基準と透明性

社外取締役の報酬は、取締役会や報酬委員会によって決定されるケースが多く、企業統治の観点から透明性の確保が必要です。報酬額は、企業規模や業界水準、役割の重さ、個々の能力や経験に基づいて算定されます。

また、開示義務のある上場企業では、報酬に関する情報を株主や社会に公開し、公正性を担保する仕組みが整備されています。透明な報酬制度は、社外取締役の独立性を維持し、企業価値向上に寄与しています。

企業側が社外取締役を選任する際のポイント

企業が社外取締役を選任する際には、単に法的な要件を満たすだけでなく、経営の実効性を高める役割を担う人材を見極めることが重要です。社外取締役は経営の監督機能だけでなく、外部との信頼構築やリスクマネジメントにも貢献します。そのため、企業文化や経営課題を理解し、適切な助言や意思決定支援ができる人物を選ぶことが求められます。

ここでは、企業側が社外取締役の選任時に押さえておくべきポイントを解説します。

形だけで終わらせない「実効性あるガバナンス」とは

社外取締役を置くこと自体はガバナンス強化の一歩ですが、形骸化しては意味がありません。実効性あるガバナンスとは、社外取締役が経営に対して適切に意見を述べ、監督機能を果たせる環境を指します。企業は彼らの意見を真摯に受け止め、経営判断に反映させる姿勢が必要です。

また、経営陣と社外取締役の間にオープンなコミュニケーションがあり、独立した視点で経営をチェックできる体制が重要となります。

外部との信頼関係構築における意義

社外取締役は企業の「顔」として、投資家や取引先、社会との信頼構築に大きな役割を果たします。独立した第三者の立場から経営の透明性を高めることで、企業の信用力向上につながります。

また、社外取締役の多様な経験や人脈は、新規事業や提携先の開拓にも寄与し、企業成長の加速要因となるでしょう。したがって、信頼される人材を登用し、社外取締役の役割を広く活用することが求められます。

社外取締役登用の失敗事例と注意点

社外取締役の選任でよくある失敗は、形式的に選任するだけで期待される役割を果たせないケースです。例えば、経営陣と馴れ合いになり独立性が保てなかったり、専門性や経験が不足して意見が経営に活かされなかったりします。

また、選任プロセスが不透明で、社外取締役のミスマッチを招くリスクもあります。こうした失敗を避けるには、選任基準を明確にし、候補者の適性や企業との相性を慎重に見極めることが不可欠です。

社外取締役に関するよくある質問

社外取締役の役割や選任に関する関心が高まるなか、「自分にもなれるのか」「知識がなくても務まるのか」といった疑問を持つ人も多いでしょう。実際には、経営経験がなくても選ばれるケースがあり、スキルや専門性によってチャンスは広がっています。

ここでは、社外取締役に関するよくある質問についてQ&A形式で解説します。

フルタイムの仕事と兼業できる?

社外取締役の多くは非常勤での登用となるため、フルタイムの仕事と兼業することは基本的に可能です。実際に現職の経営者や会社員が社外取締役を務めている事例も多く、時間の調整がつけば両立できます。ただし、利益相反や守秘義務の観点から、企業によっては兼業に制限が設けられていることもあります。社内規程の確認や、登用先企業の意向を事前にすり合わせることが重要です。

責任ある立場であることを理解し、柔軟なスケジュール管理が求められるため、難易度は決して低くないといえるでしょう。

資格や法的要件はある?

社外取締役になるために必要な特別な資格はありませんが、法律上はいくつかの要件があります。例えば、会社法では「社外」の定義として、過去に当該企業やその子会社で業務執行を行っていないことが求められます。これは経営陣と利害関係のない中立的な立場を担保するためです。また、上場企業では証券取引所のガイドラインに基づき、一定の「独立性」が求められることもあります。専門資格は不要ですが、法的な位置づけや責任を理解したうえでの対応が必要です。

未経験でも社外取締役になれる?

経営や役員の経験がないと難しいと感じる人もいますが、実際には未経験でも社外取締役に登用されることは十分にあります。近年では、IT、法務、財務、ESG、内部統制など、特定の分野で専門的な知見を持つ人材が重宝されており、業種や規模に応じた柔軟な人材登用が進んでいます。

また、ダイバーシティ推進の観点から、女性や異業種出身者の起用が増えていることにも注目です。重要なのは、経営に貢献できる専門性や視点を持っているかどうかです。

法律やガバナンスの知識がなくても務まる?

社外取締役として活動するうえで、法律やガバナンスの知識は確かに重要ですが、必ずしも専門家レベルの知識が求められるわけではありません。実務に入る前後で研修を実施する企業も増えており、基礎的な知識は着任後に習得することも可能です。

ただし、取締役として法的責任を負う立場である以上、最低限の会社法やコーポレートガバナンスの理解は求められます。知識の有無よりも、学ぶ意欲と責任感があるかどうかが、務まるかどうかの分かれ目になります。

まとめ

この記事では、社外取締役の役割や要件、女生登用の状況や必要な経験・キャリアについて解説しました。

・社外取締役の役割
・社外取締役に女性が登用される動きが加速している背景
・社外取締役になる方法
・社外取締役の報酬水準について

社外取締役は、企業の経営を外部の視点から監督・助言する重要な存在であり、企業統治(ガバナンス)や透明性の向上に欠かせません。法律上の要件や独立性・専門性が求められ、近年は女性や多様なバックグラウンドを持つ人材の登用も進んでいます。特別な資格がなくても、専門的なスキルや経験があれば未経験でもチャンスはあります。自分の強みを活かせる分野を見極め、準備を整えることで社外取締役としての道が開けるでしょう。

社外取締役に興味がある人は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

引用・参考URL

参考:LEGALSTAGE | 社外取締役になるには|就任方法や手段・必要なスキルと経歴を詳しく解説
参考:マネーフォワード | コーポレートガバナンス・コードにおける社外取締役の位置づけと役割
参考:馬場・澤田法律事務所 | コーポレート・ガバナンス強化のための社外取締役の選任~会社法改正
参考:e-GOV | 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律
参考:男女共同参画 | 企業における女性登用の加速化に向けて
参考:EXE(エグゼ)
参考:顧問名鑑
参考:JACリクルートメント
参考:ビズリーチ
参考:EXE(エグゼ) | 社外取締役とは|経営における役割とキーマンとしての注目背景・報酬体系も解説

この記事の修者

中村 慎也 (アークワードコンサルティング 代表)

大学卒業後、シスコシステムズにてパートナー企業開発や金融業界向けコンサルティングセールスに従事。その後、人材業界大手のインテリジェンス(現パーソルキャリア)でIT業界向け人材紹介や転職サイト「doda」の立ち上げを経験。ヘッドハンティングでWeb系スタートアップの取締役を歴任した後、2018年にアークワードコンサルティングを創業。IT/Webと人材領域の知見を活かし、Web戦略から施策実行・継続改善まで総合的に支援。フリーランスや副業など多様な人材活用分野で10年以上のマーケティング支援実績を持つ。

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